聴神経腫瘍とボク【オーダーメイドなリハビリ編】

お世話になっております。

だんのマンです。

 

術後、自分の置かれた状況を再認識し

患者の方との交流から

目指すべき方向がぼんやり見えてきました。

 

自分ができること

自分がしたいことは何なのか。

自分にしかできないことがこの地球にはある。

 

暗くて先の見えないトンネルだと思っていましたが

しっかり落ち着いて目を凝らすと

煌々と輝く未来がいくつも現れました。

一番星さえ見つければ

あとはどんどん星たちの方から

目の前に現れてきます。

 

後は自分が進むだけ。

 

今は歩くこともままならない。

現時点での最大のライバルは赤ちゃん

 

のんびり赤ちゃんと一緒に成長していたら

あの未来は逃げていっていまう。

 

25年の時間の流れをドライブ(加速)させるために

猛烈なリハビリ生活がスタートしました。

 

しかし、世界には赤ちゃんから成人までの

25年を早送りさせて運動能力を高めてくれるコーチやトレーナーはいません。

 

どないするねん!

ってところからスタート。

 

どうなることやら。

 

 

自分の現状を知る

できることできないこと

 

手術により

赤ちゃんとタイマンを張ってもいい勝負

の状態になったとは感じるものの

果たして今の自分に

何ができて、何ができないのか。

 

これを知らないと

どの機能をリハビリしていけばいいかも

わからず、戦略が立てられません。

 

ということで、

院内でできるありったけの運動を

手当たり次第に行いました。

 

単純な歩行

後ろ歩き

目を閉じての歩行

ケンケン歩行

階段登り

90度振り向き

180度振り向き

その場腿上げ

腕立て伏せ

腹筋背筋

スクワット

その場で回転

倒立歩行

 

などなど….

 

術後1週間、ちん管を抜いて3日の僕が

廊下の隅で(一番邪魔にならない場所)

突然運動を始めます。

 

 

さぞ変態だったことでしょう。

 

へろへろになりながら

一通り身体を使い果たして

あることが分かりました。

 

 

これは、やばい。

 

 

何がやばいのかと。

 

筋力や心肺能力は運動しなくなって

2週間やそこらなのであんまり変化はなし。

 

ただ、視界がやばい

 

何がやばいのかと。

 

術後のICUで視界がぐわっとなる話をしましたが

その正体がついにわかりました。

 

視界を急に切り替えたとき

揺らぎが発生します。

 

 

例えば、名前を呼ばれて

後ろをパっと振り返ったとき

通常ならビタっと呼ばれた相手の顔に

ピントが合うと思います。

 

しかし、ボクは

①後ろを振り向く

②ピントが合わずぐわ~んと視界が揺れ

③揺れからくる目まいが一瞬入り

④相手の顔にピントが合う

 

という段階を経ることがわかりました。

今までに経験したことのない感覚でしたが

 

②と③さえどうにかすればいい。

 

ということがわかったのは大きな収穫でした。

 

 

リハビリ室の住人への道

 

その収穫を手に、リハビリ室で病院ライフの

9割を過ごそうと誓い、診察に臨みました。

 

以下、担当医とボクのやりとりです。

 

だんのマン「~~~っていう現状でした。

圧倒的速度で回復したいのでリハビリ室に住むくらいの頻度

通わせてください。」

 

担当医「リハビリ室は基本的に整形外科的な治療を行った

患者さんのための部屋で、聴神経腫瘍の患者さんたちは

身体機能としてはリハビリする必要がないからリハビリ室は使えないね。

日常生活を送っていく中で、神経を現状に適応させていくんだよ。」

 

 

 

まさかリハビリ室が使えないとは。

 

僕の考えていたリハビリ計画は

ガラガラと崩れ、白紙に戻りました。

 

しかし同時に新たな方向性が定まりました。

 

 

日常生活を10倍速で

 

競技のための機能回復を目指すうえで

何をすればよいか。前例もなくわからなかった状態から

「日常生活を送る中で感覚を順応させていく」という

大きなヒントを得ました。

 

自分に様々な刺激を与え、色々な動作を行う経験を

積み続ける中で、揺らぎや回る世界に対応できるという仮説のもと

普通の人の10倍、日常生活の動作を凝縮すれば

10倍のスピードで回復するのではないか。

 

巨人の星のようなスーパー根性論でしたが

体力と時間と未来への希望しかないボクは

診察が終わるとすぐに、入院しているフロアで

一番人通りが少なく、階段が近い、廊下のつきあたりのスペースを

リハビリスペースと名付け早速実践していきました。

 

聴神経腫瘍のリハビリ

 

レベル1:院内

 

具体的にリハビリは何をしていくのかというと

最初は日常生活の動作をしまくるだけでした。

ただし、圧倒的集中力をもって。

 

歩く・立つ・座る・登る・下る

この5つの動きを徹底的に行いました。

10倍といっても、1時間のリハビリを10時間するのは

体力的にも、時間的にも現実的ではなかったため

10倍の濃度を意識して取り組みました。

 

歩くリハビリを例に挙げると

10歩、歩く前に

・どのように歩くか(距離・方法)

・どんな結果になると考えるか

・その際どういった感覚になるか

を自分の中で予想します。

 

そして、10歩歩きます。

この間、想定とは違う感覚が襲ってくることも

大いにあるのですが、その中で一歩一歩

予定通りに歩けるように対応します。

その際の感覚を記憶に刻み続けます。

 

歩き切ったのち、

・当初の予定の動作は達成できたか

・実際にどのような感覚だったか

を運動前の自分の想像と比較し、

想像の精度を上げていきます

 

ひたすらこの繰り返しです。

これを黙々と様々な動作で繰り返し続けました。

集中できなくなったときには

腕立て伏せや倒立などの筋トレで気を紛らわせ

看護師さんと患者さん達の不思議そうな表情に

力をもらいながらひたすら繰り返しました。

 

10日ほど経ったある日

自分の想定通りの動作・感覚の中で

運動ができた瞬間がありました。

 

この「ぐわ~ん」が来るときはこう。

階段をリズムよく登っているときにぐらぐらするのは

ここに視線を持ってきているから。。

と経験知が貯まって予測の精度が相当上がっていました。

 

 

うおぉぉ~~~~!!!っと

ココロの中で雄たけびをあげながらガッツポーズをしました。

病院の中なので叫べませんが

「ショーシャンクの空に」ばりの感情表現をしていました。

そして数日前に出ていた「外出許可」を使い

リハビリのレベルを上げることにしました。

 

レベル2:コンクリートジャングル

 

外出の目的:散歩

 

と軽やかにペンを走らせて

 

バチバチのトレーニングウェアに身を包み

久しぶりに外の世界へ。

 

病院の中ではもう敵なしのボクを待っていたのは・・・

という書き方からカンの良い方は分かると思います。

 

今回ももちろん、井の中の蛙。檻の中のゴリラ。

そう簡単にバナナはゲットできませんでした。

 

音の情報量

 

まず外に出て感じたのは

音の情報量が桁違い。ということでした。

 

歩いていると全方面からいろいろな音が入ってきます。

 

車が通る音

人が話す声

自転車が迫ってくる音

町に流れる音楽

自分の歩く音

 

などなど。

 

今までは静かな病院で

自分の動作だけに集中しながら

自分のリズムで運動をしていたため

様々な動作を少しずつ思い通りに行うことができていました。

 

しかし、外部からの絶え間ない情報は

ボクを自分の動作だけに集中させてくれません。

 

左耳からだけだと

音の方向性が分からないので

車や自転車が前から来てるのか

後ろから来ているのか判断できず

実際に自分の目で見て確認しないと怖すぎます。

 

別の場所を見ながら運動をする

 

この能力が今までのリハビリでは

獲得することができていない。

 

次のステージへの宿題が一つできました。

 

絶え間なく変わる環境

 

さらに、ちょっとジョギングしたりジャンプしたりすると

明らかに病院より視界がぐらぐら揺れ、地球が回ります。

 

ビールを15杯飲んだような状態で運動しながら

なんでなんやろう。と考えたところ

大きく2つの理由があるとわかりました。

 

地面の変化

 

病院の完璧に平坦な廊下・階段と違い

外の世界の地面はガタガタです。

平坦に見える地面でも、少しの凹凸があります。

 

できるだけ平坦な地面を選んで

足を接地させるのですが、少しの凹凸がある。

 

ボクの想像と現実の少しの無自覚のズレ

想定外のぐらぐら感覚を生み出しているという

仮説を1ついただきました。ラッキー。

 

 

視覚の目印

 

いや、それにしても視界が揺らぎすぎる。

揺らぎが過ぎます。

 

「平坦に見えてるけど実は平坦やないんやろ?

知ってるんやでこっちは。わっはっは。」

 

と思いながら、想像に少しの遊び(幅)を持たせて

ジョギングしても、ぐわんぐわんです。

 

これはおかしい。

揺れすぎや。誰かに頭を揺さぶられてる感覚でした。

 

病院ならグラグラはマシになっていたのに外の世界は、、

 

 

あ。

 

 

外は視覚の目印にしてるものが動くから

目印が固定されてて動かない病院との差が

生まれるんや。

 

 

新宿中央公園にて

すさまじいアハ体験をしました。

 

ちょうどこの滝の前あたりでアハ体験をしました。

 

他の場所を見ながら運動をする練習は

病院の中でもできる。

 

視覚の目印が動くことに対する練習

とにかく外でいろいろな運動をするしかない。

 

やるべきことが明確になってきたボクは

ニヤニヤしながら病院へ戻りました。

 

この日からより明確な課題を持った

リハビリができるようになり

トレーニングが加速していきました。

 

課題があるから対策が生まれる

 

常に「なんでやろう?」と考え続けて

頭から煙を出して過ごす。

 

身体を動かすのは毎日2~3時間。

頭を動かすのは24時間。

 

身体はホワイト企業

脳はブラック企業

 

今回の人生で、脳にはブラック企業に

勤めてもらうことにします。

たまに運動成功体験の達成感で

ぶしゃぁっと出るドーパミンをボーナスとして

愛想を尽かされないように。

 

初めて外に出た日から、退院までの2週間

リハビリして汗だくになりながら進歩する自分にニヤついて

お見舞いに来てくれた人とガハガハ笑い

修士論文で冷や汗をかいて

お土産でいただいた551の豚まんの匂いと戦いながら

時間は瞬く間に過ぎ去っていきました。

551を大阪から密輸してくださったお姉さま方

 

うーん。相対性理論

 

 

頭にニンジンを

 

「なんでそんなにいつもモチベーションが高いんですか?」

 

「どうして前向きでいられるの?」

 

 

とよく問われます。

 

ボクも

リハビリめんどくさい。

眠たい。やりたくない。嫌や。

 

と思うことはあります。

なんなら、よくあります。

 

セルフコントロール

 

そんな自分の素直な感情は

良い・悪いで評価せず

「そういうもの」と受け止め

ココロの中のてんびんの片側におきます。

 

もう片方には

・身体バキバキになる未来

・ガッツポーズをしている未来

・目標達成できず悔しがっている未来

を置きます。

 

そうすると、ギギギ・・・と天秤が傾きます。

ボクの多くの場合は、

目標達成できない未来を消すために

バキバキの身体でガッツポーズをしている未来の方へ

天秤が傾きます。

 

そうして自分の頭に

自分でニンジンをぶら下げ前に走り出すような

自分自身のココロのコントロールをしています。

 

ネガティブだとかポジティブだとかはあんまり関係なく

やるべきこと・やらないといけないことを

淡々とできるようになります。

 

お風呂に入るまでがめんどくさいのと同じです。

トレーニングも勉強も、動き始めるまでが面倒で

やり始めれば段々とやりたいことも出てきます。

 

もし、てんびんが

めんどくさい・眠たい・やりたくない

の方に傾いたときは

「そういう日なんだ。やらない。」

と自分のてんびんに従います。

 

心も向かずにやるだけになるのは

カロリーと時間の無駄遣いなので

そこは正直に自分の心がワクワクすることを

淡々とやるのみなのです。

 

圧倒的スモールステップ

もう一つ、自分のモチベーションを

加速させる手段として

圧倒的スモールステップを設定しています。

 

これはなにかと言うとそのままです。

 

めっちゃくちゃ簡単なハードルを設定し

自分を自分で褒める機会を頻繁に作ります。

 

そうすると、段々とやりたいことが増えてきて

あれもこれも。とやっているうちに出来ることが

増えていきます。

 

夢中で階段を登って、ふと後ろを振り返ったときに

めっちゃ進んでるやん!理論です。

 

いかに夢中を作り出せるか。

 

自分のことは自分が一番分かっているはず。

いいところも悪いところも。

 

自分に合わせた処方箋を自分で出せるように。

自分の機嫌をとりながら、掌の上でころころと

上手に心をコントロールしていきましょう。

 

こんな感じで心をコントロールしようと努めて

数年経って感じてくるのは

 

 

だんの、ちょろっ。

 

です。めっちゃちょろいです。だんのは。

 

自分の扱い方講座~傾向と対策編~

 

をみんなが出版できるようになれば

他人にイライラしたりすることも

めちゃくちゃ減る世界になるんじゃないかな。と

1人妄想しながら過ごしています。

 

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dannoman

だんのマンです。 陸上十種競技マスターズ日本新記録保持者 SASUKE2018に出演 2016年に脳腫瘍(聴神経腫瘍)の手術を行い、「術後、競技スポーツはできない」と診断されてから半年で十種競技に復帰し、マスターズ日本記録を更新しました。 みなさんの人生をより一層楽しむためのお手伝いができればと思っています。

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