聴神経腫瘍とボク#9【最後のステレオ、最初のモノラル編】

お世話になっております。

だんのマンです。

 

まだ入院生活編の途中ですが

ちょっと時系列が前後します。

 

最近また

病気(聴神経腫瘍)になってよかった。と

思うことができる出来事がありました。

 

手術の日からボクの中で止まっていた

「音」の歯車がまた回りだしそうです。

 

マンガのような、ホントの話

どうぞご覧ください。

 

 

 

最後のステレオ

 

聴神経腫瘍【最後の夜編】

僕の手術前夜について書きました。

 

両耳から聞いた最後の音楽は

 

サフランの花火/広沢タダシ

 

ハロウィンの喧騒から少し離れた

西新宿の静かなビジネス街を

のんびり歩きながら聞いていました。

 

この歌に出会った中学生のころを思い出していると

今までの陸上と共に歩んできた人生

洪水のようにどわっと溢れてきて

 

やばい!泣いてまう!!

と思って曲を全て聞けずに音楽を切りました。

 

 

歌詞が今の自分を現しているようで

なんだか急に感情の津波が押し寄せてきそうで

慌てて曲を止め、病室に戻りました。

 

このままでいれたらと

何度も何度も

ここから逃げたくて

 

という歌詞に

ホンマは自分で気づかんように

ココロの奥に閉じ込めていた思いの箱を

こじ開けられそうになったのだと思います。

*聴神経腫瘍とボク【最後の夜編】より

 

 

モノラルの世界

 

術後、片耳の聴力を失い

モノラルの世界に僕は生きています。

 

両耳から聞こえる音の立体感や奥行は

僕の世界にはありません。

 

iPhoneの設定で

☑モノラルオーディオ

☑左右チャンネルのオーディオ音量

を設定できるのはすごい。

ユニバーサルデザインとはこのことや!

と感動しました。

 

日常生活には支障はないですが

ステレオの音を聞いた時の

ぶわぁっ

と鳥肌が経つような感動もなくなってしまい

音楽ライブは楽しめないような気がして

術後一度も参加せずにいました。

 

モノラルの世界はモノクロのまま

手術の日から止まったままでした。

 

 

モノラルの世界にいろどりを

 

自分の足で歩けるようになったあの日から

 

☑術前の自分の運動能力を超える

☑僕のように「病気になってよかった」という変人を増やす

 

という野望をひっさげ、全力で走ってきました。

 

僕が走っている姿を見て、陸上の世界だけではなく

色々な世界の人に出会い、多くの人との

つながりを持つことができました。

 

そんな中、1人のアーティストと出会い

仲良くなり、自分の今までのコトを話していく中で

手術前夜のことを話すとまさかの

そのアーティストがお世話になっているのが

広沢タダシさんでした。

 

もうびっくり仰天です。

 

友達のアーティストが僕のことや

エピソードを広沢タダシさんに伝えてくれると

広沢タダシさんが

 

「そんなん泣いてまうわ!めっちゃ応援する。

是非ライブに来て!」

 

と仰ってくれました。

 

久しぶりに陸上競技以外で

渾身のガッツポーズをしました。

 

そのライブの日が今日、11月10日です。

 

広沢タダシさんがボクの中での

最後のステレオ

 

そしてモノラルの世界

最初のライブも広沢タダシさん。

 

色を失ったモノクロの音の世界が今日

やっと色彩を取り戻します

 

 

腫瘍への感謝

 

病気にならず、ただ健康に働いて

陸上競技で目標達成をひたすら狙う人生も

あったのかな。と思うことがあります。

スポーツでの自己実現はとても有意義で

人生を懸けるに値する目標だと心から感じます。

 

また、当然その健康な世界にも

そこにしかない喜びが溢れています。

いや、ボクなら溢れさせていると思います。

 

でも、今回のガッツポーズは

その世界には在り得なかった

 

今の自分にしかできないこと。

今の自分にしか感じられないこと。

あの時こうすれば。。と思うのは大切です。

その瞬間より今の自分が成長しているから

より良い選択肢が見えるようになっています。

 

ただ、今の自分に出来るのは

その経験や選択肢を自分の糧に

自分が笑っている未来に向けて

行動していくことだけです。

 

世界は可能性で溢れています。

こんな当たり前だけど素晴らしいことを

教えてくれたのは、気づかせてくれたのは

聴神経腫瘍でした。

 

腫瘍でもなんでも僕の細胞から生まれたモノ。

僕の大事な身体の一部だと今では感じます。

切除をして僕の脳内からはサヨウナラしましたが

あいつ(腫瘍)の死を無駄にしないためにも

夢のステージに向けてまだまだ走り続けます。

 

 

ありがとう脳腫瘍。

 

 

あとは身体能力でも術前の自分を越えて

本当の意味で必要悪だったと言えるように。

 

待っとけマイドリーム!

 

広沢タダシさんのライブに向けて

今から身体を作り上げてきます

 

今日ついにモノラルの世界にいろどりが戻るのです。

 

 

 

後日談

 

ライブの前に・・

 

行ってきます。

と渾身のドヤ顔でエンターキーを叩き

記事を書き終えたとき、

ライブ開始まで2時間ほどありました。

 

ライブ会場の「bonjour現代文明」は

大学から自転車で10分ほどだったため

ライブに向けて身体を仕上げるべく

グラウンドに向かい

ゴリゴリにトレーニングしてから

会場へ向かいました。

 

 

*基本的にゼエハアいいながらトレーニングしてます。

 

 

いざライブへ

 

もちろんシャワーを浴びてきれいな状態で

会場へ向かいました。

 

京都の歴史ある町家のような

とても味のある建物がライブ会場でした。

 

表札がかわいい。

 

 

なんだかワクワクとそわそわの狭間で

開演を待っていました。

 

時間になり、広沢タダシさんが現れ

会場の雰囲気が変わります。

 

30人ほどの規模のライブで

学校の終わりの会くらいの距離感で

広沢タダシさんの音楽に触れ合えました。

 

ライブでとにかく感じたのは

歌めっちゃうまい

でした。いやほんと。

イヤホンから聴く音楽とは

全く違う。ハートをがしっと掴まれる。

 

自分の身体一つでどんな場所でも

人を感動させられる

歌手と芸人は本当に尊敬しています。

特別な道具も用いずに

宇宙空間以外の音が振動する

どの場所でも相手の心をつかめる

彼らのような存在になりたい。

そんな思いがまた強くなった瞬間でした。

 

2時間弱の時間もあっという間に過ぎ去り

アンコールを含め最後の曲になりました。

 

最後の曲はサフランの花火。

 

この曲を歌いだした瞬間

手術前夜のあの日の夜の光景が

目の前に広がりました。

 

辛くなりそうで聞けなかったあの日の歌の続きを

手術から2年以上経った11月10日に

本人の声で聴くことが出来ました。

 

片耳から入ってくるモノラルの音は

今までの人生の中で一番キレイで

僕の身体の全ての細胞に染みわたる音でした。

 

じわっと目が熱くなり

喜びと感動で涙がこぼれそうになりました。

 

でも、喜びの涙は

競技で夢をかなえた瞬間までとっておきます。

ぐっとこらえて視界がにじまないように

この最高の景色を心に刻み続けました。

 

最高にあっという間で

最高に濃密な2時間になりました。

 

 

ライブが終わって

 

ライブ終わりに広沢タダシさんと

お話しする時間をいただけました。

 

めちゃくちゃ気さくな方で

今までのコトや他愛もない話をし

一緒に写真を撮ってくださいました。

 

 

その写真がこちらです。

 

 

 

 

 

 

 

広沢タダシさんの気さくさ故

なぜか上半身が

生まれたときの状態になっていました。

多分広沢タダシさんは西日本で

一番寛容なアーティストではないでしょうか。

 

 

笑って感動して過去を見て未来をイメージして。

広沢タダシさんの音楽は、ボクの世界にいろどりを加えてくれました。

もっともっと前に進んで夢を叶えて。

 

今まで撒いてきた夢の種が花開いた瞬間に

その花を見ながらカンパイしたい

大切な人がまた一人増えた、記憶に残る1日になりました。

 

続き

聴神経腫瘍とボク#10【オーダーメイドなリハビリ編】

 

 

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dannoman

だんのマンです。 陸上十種競技マスターズ日本新記録保持者 SASUKE2018に出演 2016年に脳腫瘍(聴神経腫瘍)の手術を行い、「術後、競技スポーツはできない」と診断されてから半年で十種競技に復帰し、マスターズ日本記録を更新しました。 みなさんの人生をより一層楽しむためのお手伝いができればと思っています。

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